オゾン療法

オゾン療法

オゾン療法とは?

オゾンガスを用いた様々な治療法の総称です。
そのうちの1つ大量自家血オゾン療法では、100ccの血液を採血し、その血液にオゾンガスを反応させ、オゾン化した血液を体の中に戻す治療法です。

英国のエリザベス女王の母クィーンマムは、オゾン療法を受け、大きな病気をすることも無く、長生きされたため、イギリスでもオゾン療法が注目されました。
オゾンは反応性が高く、相手を酸化します。酸化療法とも呼ばれる所以ですが、最終的にはからだの抗酸化能力を高めることがわかっています。

大量自家血オゾン療法の作用
1.体内を酸素化します。特に酸素が行き渡らない虚血部位を酸素化します。
2.血液流動性の改善によって末梢循環を改善します。
3.免疫機能を向上します。
4.細胞を活性化することによってATP産生を増加させ、抗酸化力を向上させることからアンチエイジング効果などが期待されています。

1.体内の酸素化
オゾン療法は、オゾンが血液と反応して、そこで発生した物質が体内で連鎖反応を起こすことによって作用します。オゾンが血液と接触すると、前期反応として活性酸素種が生じ、後期反応として過酸化脂質代謝物が発生します。この活性酸素種と過酸化脂質代謝物の2つが、主な作用機序だとと考えられています。

体内の酸素化は、2,3-DPGを介して行われます。オゾンと反応して、赤血球膜のリン脂質が分解して穴が開き、そこからオゾンがペルオキシドという形で入り、このペルオキシドは、グルタチオンペルオキシダーゼで分解されます。そのときにグルタチオンは還元型から酸化型になって、G6PDによって、2,3-DPGが増加します。

末梢動脈循環障害患者にオゾン療法を行った研究結果では、オゾン療法を行うと血中の2,3-DPGが明らかに上昇していることがわかりました。2,3-DPGが上がると赤血球の酸素乖離曲線が右方移動し、酸素が運ばれた先のからだの末梢で酸素を離しやすくなり、もともと酸素不足だった部位に酸素が供給されるようになります。

2.血液流動性の改善

シリコンのスリットの7ミクロン間を100μℓ血液が流れていく時間を測ることで、血液流動性を見るMcfanという検査で血液が流れやすくなっていることも測定されています。
流れにくい方だけが流れやすくなるので、流れやすくなりすぎて出血するということもありません。

3.免疫機能の向上

オゾンが白血球の単球や顆粒球などに反応した場合に、インターフェロンなどのサイトカインが増加することが知られています。TNF、CM— GSF、インターロイキン2、インターフェロン-γなどがいずれもオゾン療法によって容量依存的に上昇が見られています。

4.アンチエイジング効果

&deco(,,18){オゾン療法は細胞を活性化し、細胞内ATPを上昇させることや、SODなどの抗酸化力を上昇させるなどの効果があり、アンチエイジング目的に使用されています。加齢性黄斑変性症患者の研究では、オゾン療法によってスーパーオキサイドを消去する酵素SODが増加するというデータがあります。

酸化ストレスや抗酸化力を計測するFRAS4という測定器によって、オゾン療法前後の患者様の抗酸化力(BAP)を測定してみると、殆どの症例で有意に BAPが上昇します。このデータの中から、もともと抗酸化力の低い人を取り上げてみると、もともと抗酸化力が低い人は、オゾン療法によって抗酸化力が特に上がっています。

オゾン療法前後の酸化ストレス(d-ROM)の量は変わらないか、少し下がる傾向があるようです。この結果は、血漿の消去系などの働きによって、血液クレンジングが最終的には酸化ストレスにはなっていないことを示しており、酸化療法の有用性の理論の裏付けとなっています。

オゾンの投与方法

自家血オゾン療法には、大量自家血オゾン療法(Major  Autohemotherapy)=MAHと、少量自家血オゾン療法(Minor Autohemotherapy)、があり、大量自家血オゾン療法は先に説明させていただいたように100ccの血液を採血し、そこにオゾンガスを反応させ、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。少量自家血オゾン療法は3~5ccの血液をオゾン化して、筋肉注射する治療法です。

オゾン療法には自家血オゾン療法の他に、様々なオゾン投与の方法があります。
直腸経由でオゾンガスを注入する注腸法や水にオゾンガスを混合したオゾン水が歯周病治療や火傷、皮膚の感染症や褥創治療に用いられています。オゾンガスをオリーブ油に固定したオゾン化オリーブ油は、アトピー性皮膚炎や水虫治療に使われています。

また潰瘍や歯を密封してオゾンガスを入れることで、治癒を促進したり、殺菌するために用いられたり、関節炎の患者などにはオゾンガスを関節内や関節の周りに注射することで、炎症を治療する目的でオゾンガス注射が行われます。皮内投与や皮下投与では、鎮痛効果を狙って、トリガーポイントブロックや循環障害の改善目的に使用されています。